第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
力を込められた腕
壁に押し付けられた背中に
ビクリと身体が跳ねる
怖くないと言ったらウソになる
派手なナリはしてるけど
こういう事には慣れてないし
だけど
『これ以上したら
手加減しませんよ
私、こう見えてもケンカ強いんだから!』
ひよってる態度を
見せるわけにはいかない。
スキを見せたら
こういうタイプは調子に乗るのよ
ここは強気で押し切らないと…
今にも噛みつきそうな
顔して威嚇してみるけど
「ハハッ!元ヤンってやつ?
可愛い顔してヤンチャだったのかな?
気の強い子好きだな~
手加減しないってどうなるの?」
これは逆効果?!
いや、なめられてるよね?
こうなったら
急所のひとつも蹴り上げて
引っ掻いて…ビンタの二、三発
と、頭の中には威勢のいい事が
巡るけど身体は正直で
足が少し震える
「…震えてるよ、足」
しかも、それを見破られるとか
なんたる失態!
こうなったら
ヤタラメッタラ暴れてみよう
それしか助かる道はない!