第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
口に出したら違和感が
ホンマになりそうで。
この脱力感は
幸せの証と思いたくて。
違和感なんかなかったと
言い聞かせ話を侑に逸らすと
「…そっちこそ、姫凪どや?
あんま無茶してへんやろな
お前スイッチ入ったら
満腹なるまで食い散らかすし…」
「お、教えたらんわ!ボケ!
それに治(オマエ)にだけは
言われたないんじゃー!
この万年腹ぺこの性欲お化けがーー!」
なんか逆ギレされて
不快なあだ名を付けられた
「お前から聞いたんやろが!
って!無視か!!
暴君復活かコラーー!」
言うだけ言うて走って出ていく侑に
すっかり覚めた目
「…結局いつもと同じ時間やんけ
走って来よ…か」
放りっぱなしやった携帯まで戻り
サクラにオハヨウのLINEを送る
朝練ないし侑居らんし
サクラ呼び出して
たまには二人で登校とかも考えてた
叶わんかったけど。
ランニングとシャワーを済ませ
携帯を覗く
オハヨウのついでに送った
"チョイ早めに一緒に行こう"の
メッセージには既読が付かない