第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
「バレー漬けやから
すぐにとは言われへんけど
んー…あ、そや…
春高連れてったるわ
旅行とはちゃうけど
一緒に違う土地行けるで!」
「邪魔ちゃうなら…
応援行きたい…」
「おん、連れてく」
姫凪から次のコールが鳴る
ギリギリまで手を繋いで
いっぱい好きを伝え合い
愛しい背中を見送った
不安な気持ちは和らいでいき
ふとした時に見え隠れするも
大きな波乱は起こらないまま
二組のカップルは
一見平和な日々を送っていた
このまま気まぐれで現れる
不安な気持ちなんて
奥の奥に仕舞ってしまえるって
思ってた
『サクラ~!
次の日曜日ご飯作られへんねんけど
大丈夫??
遅くなりそうやねん』
「え?今度の日曜日?
そっちもデートなん?」
『え!?サクラの所も?
どこ行くん?』
「動物園…」
この日までは。