第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
「あ、かん…サクラ…出るっ」
寸前で引き抜こうとするのを
拒否すると
喉に生暖かく苦い味が広がる
「サクラ、大丈夫か?!
ココ、吐き出してエエから…」
口元を手で覆う私に
ティッシュを引き抜いて
差し出して
心配そうに見つめる目
さっきと同じく首を横に振ると
「アホか、無理すなや!
きれいなモンやないのに…!」
泣きそうな声が
私に届く
「…汚いモンでも…ないよ…
治くん…好き…
全部が好きやから…無理…ちゃう…」
喉の奥に落ちた精液より
苦い気持ちに
見つめ合ってた目から
「私…を見て…」
涙が溢れてしまう
「見てる…見る…約束するから…
泣くな…頼む…から…」
困らせたくないのに
それは間違いないのに
私はホンマにアカン子ぉやな…