第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
「布施さん?
どないしたん??
気分悪いん?保健室行った方がええんちゃう?」
へ!?誰や!
てゆっか!声出てた!?恥っっず!!
「何もない!
もうビックリするくらい普通!!」
保健室なんかに行ってる時間はない
部室行かな!
バタバタと走って
部室のドアを開けると
硬いベンチにゴロンと寝転ぶ治くんの姿
「治くん、ただいま」
肩を揺らしながら声をかけると
「…おん、おかえり。
教科書貸せたん?」
力なく笑う顔と掠れた声に
グッと息が詰まる
「うん…
あの…今日は家に来ぉへん?
…なんかオヤツ買おて…」
「エエな、そうしよ。
ほな、戻ろか
あ、ごっそうさん!美味かった」
お弁当箱を私に返し
優しく頭を撫でて立ち上がった治くん
え?戻るん?
「まだ…昼休み時間あるで?」
なぁ?なんで?