第66章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋②(宮侑、宮治)
「ほな、ね。
行ってきます…」
あ、ウソ…そんなん思ってない
ごめん、ごめん
『サクラ…!』
縺れる足で立ち上がるけど
力が抜けて床に膝をついてしまう
「なん?無理せんでエエよ
私は平気やし。
ほな、行くな」
行かんといて…
ゴメンってチャント目ぇ見て…
『サクラ…ごめん』
絞り出した声の先は
サクラの残り香しかなくて
弱い自分に涙があふれる
覗いたリビングはキチンと
片付けられてて
余計に一人だと思い知らされてしまう
冷蔵庫には
私の分の朝ご飯。