第42章 らしくないけどオマエだけ(照島遊児) 完結
「姉ちゃんは鈍感だし
強がりだし
あんまり恋愛に向いてねぇけど
それでも良いなら…
もう一回…チャンスあげてください!」
弟が頭をガバリと下げて
「俺、しばらく家には戻りませんし
親も今日は遅いッスから!」
俺に鍵を押し付ける
「おい、こういうモンは
気軽に渡すもんじゃねぇべや…」
「軽くなんかない!
信じてます!
姉ちゃんをヨロシク!」
俺の返事を聞かず
走り去って行く弟に
「俺より強引で無鉄砲な奴居たよ…」
なんて、苦笑いを漏らしながらも
握らされた鍵に
上がって行く気持ち
切れた糸は…
繋げるのか?
番号も知らない
名前を呼ばれたのも
たった一回
サヨナラのあの時だけ
そんな、俺らだけど
繋げるなら
走るしかねぇべ?
走って、走って…
「姫凪!」
姫凪の部屋のドアを叩いた