The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第24章 Who is me…? -私は…-
「…良いの。
どうであれ、悠は悠だから…。
…ね、ザック。」
言い終えるとほぼ同時に、
レイはザックを振り返る。
その言葉を受けたザックは、頭を掻きながら
何故か気まずそうに言う。
「……よくわかんねぇけどよ、
悠は悠だろ…?
今まで、一緒だった時間は、
"嘘"なんかじゃねぇよな……?」
どこか不安そうなザックの声に、
思わずふっと笑みを零す。
『…うん。
私は私。
……如月悠だよ。』
じっと私を見つめて
不安そうに揺れる2色の瞳。
……ザックらしくもない。
「……ですが、
今回は勝手が異なります。
……貴女はここで何を?」
『……何って…、
別に、巻き込まれただけさ。』
ウィリアムの鋭い視線を受けて、
私は肩を竦めて答えた。
生憎、今の私は神ではなく…
神見習い…いや、もしかするとそれ以下かもしれない。
堕ちた神。
そんな人間神もどきは、リストなど持ってはいない。
……だから、何も知らなかったし、
知ることが出来なかった……。
「…チョ、待ちなさいヨ!!
ってことは、あの刀…!!」
「……死神の鎌-デスサイズ-っすねぇ〜…。」
2人の赤と橙色の死神がそれぞれ声を上げる。
『……そう。
これは、私の死神の鎌-デスサイズ-…。』
小さく呟くように答えた私は、
衝撃で封の切れたその武器の鞘を握りしめる。
…私のそれは、日本刀によく似ている。
扱い方によっては、死神の鎌にも普通の刀にもなる。
『私は再び、あの席に座する予定だ。』
私は3人の死神を見上げて
強くそう返す。
「…ヒュ〜。
可愛い顔して、カッコイイことを言うじゃん。」
私のその言葉に、橙色の髪色の死神…
ロナルド=ノックスが笑った。