第23章 水色の思い出 (逆ハー)
まんまと言いくるめられた気がしてならない。
せっかくファスナーも外して貰い脱がせてまでくれたのに、またパーカーを着たいとは言えず、仕方なくは水着のまま海に向かった。
こんなに肌を晒すのは初めてで、恥ずかしくてしょうがない。バージルが前を歩いているのがせめてもの救いだった。
海に入るとは一直線にレディとトリッシュの所へ駆け寄る。
「あら。やっと来た」
ビーチボールを手にこちらを振り向くトリッシュ。はやっと落ち着いた気持ちになった。
水の中であれば、身体も多少は見られなくなる。
「やっぱりパーカー脱いだ方がいいわ。可愛いわねぇこの水着」
悪戯っ子のように笑って肩紐を引っ張り、の顔を覗き込んだ。
小声で囁く。
「見てたわよーさっきの。いい雰囲気だったじゃない」
言われて顔が熱くなった。せっかく脳の隅に追いやりかけていたのに、この手の話が大好きなトリッシュにかかると元も子もない。
「一瞬本当に抱き合ったのかと思ったんだから」
「ちょっ…その話はいいから」
「何でよー楽しいじゃないの。ねえレディ?」
「あの二人がどこまで耐えられるか見物よね」
「双子で泥沼なんて滅多に見られないものね。何か起こらないかと思ってここにも来たんだもの」
トリッシュの物凄く楽しそうな笑顔を見て、は少しだけげんなりした。
そんなんじゃないといつも言っているのにこの二人は聞かない。ダンテとバージルと私の組み合わせなんて、よほどでない限りあり得ない。
私が二人に釣り合わなさすぎる。