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【DMC】バージル夢短編集

第14章 過去の遺物



「…あぁ、そうだ。今はカレシとかいるの?」

げ。
苦い顔になるのを寸前で止める。
バージルの事はあまり話したくない。知らないでいて欲しい。

「あー…うん、まぁ…。そっちは?」

話を逸らそうとして逆に尋ね返すと、彼は肩をすくめた。

「今はいないよ」

驚いた。彼は私とは合わなかったけれど結構人当たりも良くて、格好良い方だ。モテているはずなのに。
しかし私は次の言葉を聞いて更に驚く。

「何か懐かしいな、お前と話すの。やっぱ一番落ち着くわ」

「………」

ジーザス。
勘弁してよねちょっと。

私には今バージルという彼がいるんだし、それにこうやって引き摺る男はあまり好きじゃないのよ。
これ以上はヤバいかな。

ごめんバージル前言撤回。早く私を見つけて。
そう思った瞬間。

「」

バージルが隣にいた。


彼は不審そうに、私と元カレを見比べている。
元カレは突然現れたバージルに一瞬ぽかんとしたけれど、素早く気付いた。

「カレシ?」

「……うん」

肯定しないわけにもいかない。否定なんかしたらその後のバージルが超絶怖い。
頷くと、バージルは視線を寄越した。

誰だこいつは、って顔。不機嫌そうにしている。
やだなあ。言わなきゃ駄目かなあ。
友達、じゃ納得しないかも。きっと、私と彼の様子を少し見ていたに決まってる。

それはバージルの用心深さと慎重さからだから仕方ないけど。
それでも、私と彼の仲が友達とは少し違うのには気付いただろう。

「…こちら、元カレになります」

ビリッと空気が震えた気がした。
表情は変わらないものの、バージルの視線は警戒から刺すような鋭いものに変わる。

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