第9章 決意
の右隣に座る。
それを見て彼女は、律義に読んでいた雑誌を閉じてテーブルに置いた。
ヒュウイはその横で、ソファの背もたれに左腕を乗せてを見つめる。
「………」
最初は不思議そうにヒュウイを見ていたものの、それでも何も言わずに見つめてくる視線に、次第に居心地悪そうに身じろぎした。
視線が揺れている。
から好かれているのを知っているヒュウイは、意地悪そうに笑ってそれを見ていた。
「…何か…用ですか?」
おず…とが問うた。
それにも答えず、かわりに空いている右腕での頬に触れて。
は身を引かなかったが、わずかに怯み。
―――あいつ、今まで一人も女をたらし込んだ事がないのか? 一人二人、傍に居た女がいるだろうに。
細く長い指を滑らせながら、ヒュウイは考える。
まあ、邪魔なあいつはいなくなった。
正直あいつの行動には腹が立つが、自分から間違いを認めて戻って来るまで探してなんてやらない。
俺はが欲しいんだ。
この機会にゆっくり落とすさ。
頬の手を首に滑らせると、びくりとは震えた。
の頭にフラッシュバックするのは、バージルの手の感触。
身体が熱を持ち始める。
首筋の震えに気付いたヒュウイはくっと笑い、に身体を近づけた。
「……っ」
反射的に身を引いたを視線で制す。
言葉なんていらない。長く彼に仕えていたに言う事を聞かせるのは、それで十分だった。
二人分の体重がかかり、ソファが沈む。
に逃げられないよう、ヒュウイは右手をソファの縁につく。