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イケメン戦国 ー とおまわり ー

第20章 動く2




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日が登り辺りが明るくなると、その役割を心得ているように通る先々で緋色の布がはためいていた。ある者は場所を貸し、ある者は食べ物を用意し、ある者は道を教え、馬が疲れる前に新しい馬が用意された。

関わる者たちは皆、俺の腕に巻かれた布を見ると何を問うこともなく、日々の生活の一部のように俺の世話をして送り出した。
女が言っていたように、俺が誰であるかということは意味はなく、自分のするべきことをしているだけのようだった。

これがいろは屋のもつ力なのかと考える。
点と点を繋げ意味をなすものとすることが、いろは屋の得意とすることと話していた一之助の顔が浮かぶ。その点が町や村のあちこちにいる普通の民のことであれば、それはどれ程の数になるのか。敵意も善意もなく、これ程までに自然に協力させる何かを、いろは屋は持っているのか。

敵となれば実に厄介な相手となるだろと思い、馬を走らせながら小さく息を吐く。それと同時に、これ程の力があればことねやひいろは容易に助けられるのではと、焦る思いに希望を見つけ、ひたすらに安土への道を急いだ。

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