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イケメン戦国 ー とおまわり ー

第13章 離れる【光秀編】



「そうですね、糸野屋の狙いは……風の国そのものといえるのかと」


眼鏡の奥の一之助の目が細くなり、まとっていた空気が一瞬凄みを増し、すぐに戻る。


「風の国の持つ鉄鉱脈と陸海と広がる運搬技術と経路。中立を貫くその立場と多くの領国との繋がり。それら全てが糸野屋の狙いだと思われます」

「鉄鉱脈に中立国か。まぁ、どこの国かは察しがつくが……それよりも糸野屋の方だな。まさか薬を売るためだけが狙いじゃないよな」


政宗の言葉に一之助がふっと息を吐く。


「表向きは商いの為でしょうが、裏を返せば密売と人身売買の為でしょう」

「密売と人身売買い、ですか」


三成が問い返す。


「はい。密貿易にて商品を得るために女子供や若い男を交換の品としているようです」

「それは本当か!そんな卑劣な真似を赤蜘蛛のやつ。信長様、いかがいたしましょう?」

「秀吉、座れ。話の途中だ」

「……はっ、申し訳ありません」


秀吉が怒りまかせに立ち上がり、御館様にたしなめられ頭を下げ座ると、一之助が口を開く。


「その辺の目論みは先代の殿様も察しておられ、けして自由にさせることはありませんでした。今の殿様になってもそれは同じことです。ただ、糸野屋もそれなりに策は練っているようで、隙をみては色々と手を打っているようです」



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