第14章 ここからが本番
「!…」(そうだ……秀徳は…緑間君や…高尾君だけじゃない…大坪さんだっている…。)
監督は何か考えているようだった。私もクリップボードにメモしていた。そして試合にまた目を向けた時だった。
「!…」(うそ…。)
火神が緑間のシュートを止めていた。鳥肌が立った。彼は……まるで鳥のようだった。
「うわぁ!すげぇブロック!」
そして伊月がレイアップシュートを決める。
第3クォーター、8分35秒。34対53。
「おぉっ!」
「きたきた!」
観客からの歓声。
「…あ…。」
「どうしたの?菜月ちゃん…。」
「…いえ…。」(火神…君…?)
大坪のシュートを止めた火神。
「おぉっ!」
「なんなんだアイツは!」
でも審判から笛を吹かれた。
ピピーッ!
「ファウル、黒10番。」
「マジですげぇよ火神!アイツがいれば…!」
「そうですか?」
『え?』
「…」
黒子も何か気づいていた。
「このままだと、何かまずい気がします。」
「!…て、テツ君…。」
「はい。」
まだまだ続く試合。火神がダンクを決めた。
「おわっ!?高ぇ!」
「信じらんねぇ!1人で秀徳圧倒してるぞ!」
ゾッと嫌な予感が襲ってきた。
「違う…。」
「菜月さん…?」
「違う…。」
「!…」
「なっ…ど、どうしたの?菜月ちゃん…!」
私は座りこんでしまった。
「こんなの…違う…。火神君じゃ…ない…。」
「!…」
黒子が私の方に体を向け、背中をさすってくれた。