第11章 恋人
ベッドの淵に追いやられたハーフパンツのポケットの中から取り出したコンドームと…長方形の小さなパックは…ローション…?
「お店から拝借して来ちゃった」
カズくんは最初から俺とそうなる覚悟で此処に来たんだ
俺と越えたい、って
仕事じゃなくて
完全なプライベートで…
カズくんの意思で。
ここに来るまでの道程
カズくんはどんな想いだったんだろう
期待?
不安?
拒まれたらどうしようとかそんな事も思ったりしたのかな
俺だけに向けられたトクベツな想いが
擽ったくて嬉しくて
「ありがとう」
「え…?」
「でも、次からは俺が用意するね」
ローションがなんで必要なのか位は
経験の無い俺でも一応知ってる
「カズくんを傷付けない為の準備、なんでしょ?
それなら俺がちゃんとしないと」
カズくんの柔らかな髪を撫でると
俯いて小さな声で頷いた
「あり、がと… でもそんな風に言葉にしてハッキリ言われるとなんか照れる…」
「うん、確かに照れるね」
おでことおでこをくっつけて
ふふっ、て笑い合った
あぁ、なんか俺
すっごく幸せだ
この時間が
空間が
温かくてたまらない