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アイナナ夢

第3章 Rey1


一通り自己紹介されるも、人の名前がなかなか覚えられない私には時間がかかりそうだった。


落ち着いた感じで青い人が和泉伊織。
眼鏡の最年長で緑の人が二階堂大和。
ムードメーカーのオレンジの人が和泉三月。
馴れ馴れしい(いい意味で)水色の人が四葉環。
優しそうな雰囲気の紫の人が逢坂壮五。
女の子が好きな黄色い人が六弥ナギ。
わんこみたいな赤い人が七瀬陸……。


………しばらくは色で覚えよう。


『…私は音無零。短い間ですけどよろしくお願いします』
「短いって…音無さんすぐ辞めちゃうんですか!?」
「音無さんは3ヶ月の研修期間の後にどうするか決める様ですよ」

きっと私は3ヶ月も続かない。
その間に社長がどう動くかわからないけど。

「音無さん!おと…社長がメンバーとの顔合わせが終わったら私と一緒に社長室に来る様にと言ってました」
『あ、はい。そ、それじゃ失礼します…』

私と紡さんはレッスン室を後にし、社長室へと向かう。
新人マネージャーだし、私と状況が似てるかもしれないけど…話しかけるにも口が動かない。

「あの…零さんと呼んでもいいですか?」
『構わないけど…』
「ありがとうございます」
『いいえ…』
「…」
『……』

会話が続かない。
社長室ってこんなに遠かったかな…。
しばらく歩いて社長室に近づいてノックをすると中から「どうぞ」と返事が聞こえた。

「失礼します」
「どうかな。零くんは」
「お父さん!無理に連れてきたでしょう!」
「そんなことないよ?」

明らかに目が泳いでますよね。
自覚はあったんですね。

「僕は見込みがないと思ったらスカウトなんてしない」
「え、スカウトってまさか…」
『ちょっと待ってください。社長、その話はしないんじゃなかったんですか?』

なんだか嫌な予感がしてきた。
娘も丸め込もうとしてる親にしか見えない。

「しないとは言っていないよ。協力者は必要だからね」
『そもそも私はアイドルなんてやるとは一度も…!』

言ってる途中でハッとした。
自分で墓穴を掘ってるだけじゃない。
そんな私を不思議そうに見てる紡さん…。

「事務員ではなかったんですね」
『いいえ事務員です』
「零くん。少し歌ってくれないかな」
『嫌です』
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