第2章 Rey
男性アイドルグループ…?
もしかして私もそれに加えるつもりだったとかないよね…。
「君はソロプロジェクトで進めるつもりさ」
『……まだアイドルなんてやるとも言ってません』
「その気にさせてみせるよ。僕は往生際が悪いから」
連れて来る前と言ってることが違うのは気のせいじゃないと思う。
やっぱり相手の土俵に入るべきじゃなかったのかも知れない。
「そうだ。君の名前を聞いていなかった」
『私は…音無零…』
「零くんだね。しばらくは事務員として歓迎するよ」
そう言いながら小鳥遊社長は私に手を差し出した。
握手しようって意味だろうけど、私はその手を握る気にはならなかった。
その手を握っていたら違う道を辿ったかも知れない。