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アイナナ夢

第4章 Rey2




山村さんが怖い顔をしていたので、私の箸は止まった。
この事務所に何かあるのだろうか。

「いや、こっちの話だ。それよりも…」
『?』
「お前、本当は可愛いんだな」

そう言いながら私を見つめていたことに気がついた。
山村さんって整った顔しているから見られると緊張してしまう。

『へ?熱っ!』
「手、見せろ」
『ふぇ!?』

いきなり手を掴まれて変な声が出てしまった。
それのせいなのか、山村さんが固まる。

「…っ、手…赤くなってる。熱は持ってなさそうだが一応冷やしとけよ」
『ありがと…』

少しと言いつつ私が食べ終わるまでいるし、手を冷やすついでにどんぶりを洗うことにした。
その間、山村さんは椅子に座ってじっとしていた。

「あ、あのさ…誰もいないのか?」
『小さい事務所だから私以外みんな出払ってるみたい』

自分で言ってやっと気がついた。
個室に二人きり…?しかも部外者で、私は研修中。

「やっと気づいたか」
『えっと…はい』

洗い物も終わって、振り向くと山村さんが壁際に迫っていた。
これをなんて言うんだっけ…恐喝?怖くはないけど。

「俺じゃなかったら危なかったな」
『うん。芸能事務所だし、情報漏れたら不味いし』
「……そう言う意味じゃねえよ」

その意味じゃなかったらなんなのだろう。
あまりこっちをじっと見ないでほしい。
どうしてかわからないけど、恥ずかしくなってきた。

「お前のそんな顔が見れて俺は満足だ」
『意味がわからないんだけど』
「……。丼持っていくぞ」
『あ、うん。お願い』
「普段からそう言う格好してれば可愛気があるのに勿体無いぜ。じゃあな」
『なっ!?』

去り際に何を言ってるんだ。
私に可愛気?そんなものある訳…いいや、無縁なものじゃない。
なんか…顔が熱い…。





「何年も見てるのにギャップ激しすぎだろ…クソッ」
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