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アイナナ夢

第4章 Rey2



「それでは、私は仕事が残ってるので行きますね」
『あ、はい』
「それとですね、私とは敬語じゃなくていいですよ?」
『紡さんも敬語使ってるじゃないですか』
「私はマネージャーですから」

仕事上仕方ないと言うことらしい。
それもそうか、イメージダウンに繋がりかねない。

『ん、わかった』
「ありがとうございます。それでは私は行きますね」

そう言って紡さんは部屋を出て行った。
一人取り残された私はどうしよう。
鍵は渡されているし、このまま仕事に戻ろうかな…。

『そう言えば…レッスンって何をするんだろ』





◇◇◇






事務所に戻ると、万理さんも出払っているのか誰もいなかった。
もしかして今ここにいるのって私だけ…?
時計に目をやると1時を過ぎていた。

『お昼食べ損ねちゃったな…せっかくだし出前でも…』

馴染みの店に電話をすると、自分のデスクに座り込んだ。
髪型戻すの忘れてた…。


「まいどー」
『あ、来た』

出前が来たのか私は事務所の出入り口へ向かう。
家から近かったからよく行ってた蕎麦屋さんだ。

「って、お前…」
『え?』
「その髪…」

あぁ、そっか。
知り合いの前で前髪を上げてた時ってなかった気がする。
この蕎麦屋さんも例外じゃない。

『仕事上仕方なくね…』
「お前の声で芸能事務所とか言うから何事かと思ったぜ」
『これには深〜い訳が…と言うか喋ってたら伸びるでしょ』

あ、って顔しないで貰えないかな。
このそば処山村の山村さんは結構謎が多くて、日中なのにいないことも多い。
本人曰く、暇な時に手伝ってるって事みたいだけど。

「はい、天ぷら蕎麦。熱いよ」

蕎麦を受け取ると、山村さんが帰ろうとしなかった。
仕事中じゃなかったの。

「食べながらでいいから少し時間いいか?」
『山村さんがいいならいいけど…部外者が事務所にいるのはマズイから…』
「それもそうだな…」

仕方ないから例のレッスン室に連れて行こう。
鍵もかけられるし、大丈夫だろう。

「なんだこの部屋」
『私専用…?……いただきます』
「零、お前小鳥遊プロダクションの関係者なのか?」
『い、一応…』

研修期間だけど一応事務員…で、あれはなんなのだろう。
アイドルにもなっていないし、歌手でもないからこれは言わないでおこう。

「厄介だな…」
『え?』
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