第47章 怒られた
「ふふふ……」
宗三「うわぁ……」
宗三さんの口から、うわぁなんて言葉が聞けるとは……いや、それよりも引かれているように見えるのだけども気のせいだろうか?
……うん、気のせいだ。
「宗三さんのそういう(優しい)とこ好きだなぁ」
宗三「そういった趣味があるんですか……」
「え、いや……どういう趣味のことを仰っておられるのでしょうか」
私の趣味なんて……趣味ってなんだっけ。
何でもいいかと宗三さんの隣をご機嫌よく歩きながら、回りを見ているとキラキラと輝くなにかを売っているお店を見つけて興味から近づいてみると、どうやら髪飾り……簪だった。
他にも櫛とか売っているが……とてもきれいだ。
この時代なら手作りだったりするんだろうが、現代とは違ってシンプルだがそこがまたいい。
「綺麗……」
宗三「……ほしいのですか」
「あ、いえ……こういうのは見ているのが楽しいんです。見ての通り飾りっ気などないので……」
我が本丸は赤字もいいとこ、火の車ーって感じなのでこういったものを買う余裕もなければ私自身がアクセサリーなどつけることがないのだ。
唯一、靴などは自分の気に入るものを買ったけど……自分を飾る宝石だとかそういうのは苦手だ。
「こんなに綺麗なのに私が身に付けたらこの輝きが陰ってしまいますから……買うとしても飾ることしかしないでしょう」
宗三「否定はしませんが……こういうものを利用して……少しは綺麗になるのもいいんじゃないですか」
宗三さんは簪を手に取るとそれを私の髪を器用にもまとめて、挿してくれた。
優しく微笑む宗三にドキッとしながら何とも言えない気持ちに頬が赤く染まる。
「あの宗三さ……」
「お嬢ちゃん、ほれ買うならお代払いな」
「ふえ……?」
店の人とも思われる人が片手を出して金銭を要求してくる。
宗三さんの方を見ると……その場にはいず、遠くの方まで歩いているのが見えた。
え、置いてかれた……