第8章 心配
「そう云えば、芥川くんは仕事に行っちゃったんですか?」
私は、ゆったりとした歩幅で横に並んで歩く中原さんに聞く。
ちなみに、中原さんと私の身長の差はたった5センチだ。
「たったって云うな。はあー。ああ。芥川は今、樋口と仕事だ。」
中原さんは、ため息をつく。
「そうなんですね。確か樋口さんって。」
「お前なー、なんでさん付けやくん付けで呼ぶんだ?呼び捨てでいい。」
中原さんは、私のほっぺをぷにぷにさせる。
「でも、5年間も言い続けたら今更直すのに苦労します。」
と笑って云う。
中原さんは、またはあ、とため息をつく。
「でもまあ、中原さんがそれをお望みであれば直しますよ。」
「そうか。」
まあ、云い間違える確率は99%ですけどね。
私は、ふふふと笑う。
中原さんは、そんな私の顔を見てホッとしたようであった。