第58章 初恋の再会
「…チッ…笠松……またお前か…」
「……お前らいい加減にしろよ。卑劣なことばっかりしやがって……今日という今日はもう許さねえッ…」
花宮は舌打ちをすると氷室の胸ぐらを解放して突き飛ばす。ズボンのポケットに手を突っ込み笠松の方へとゆっくり近づいていく。
余裕な笑みを浮かべる花宮だったが、笠松がこの場に現れた事により不機嫌さが増し何もかも予定通りに事が運ばず苛立っていた。
「フハッ…許さない…ねえ…許さなかったらどうすんだよ…ただの遊びくらいでムキになってんじゃねえよ」
「これのどこが遊びだッ…」
「ハッ…2対2か……お前ら2人でそこのクソ女を護りながらどっちが優勢か…馬鹿でもわかるよな」
後ろにいる氷室と目の前にいる笠松を交互に視線を映す。笠松の背後にいる聖知を見ると冷ややかな、意地の悪い笑みを浮かべ片口角を上げる。
「よくわからないが…これ以上彼女を傷つけるつもりなら俺も容赦しないよ」
「…!…」
氷室は臆するどころか拳をポキポキ何度も鳴らし花宮を威嚇する。
笠松は氷室がなぜこの場にいるのか、聖知を助けてくれたのか、気になる事はあったが今は花宮から聖知を守るために集中する。
お互いに睨み合い、今にも一触即発しそうな雰囲気に突如余裕たっぷりだった花宮の様子に変化が起きた。