第58章 初恋の再会
「良いモン見せてやるよ…」
「っ……」
「チッ……いちいち、イラつかせる女だな…
いいから見ろよっ…!」
「っ…!」
花宮が何を企んでいるかわからず…無視して顔を背けると顎を強く掴まれ、無理やりある動画を見せられる。
それは縄で縛り付けられている幸男さんが監禁されている動画だった。
「っ…笠松先輩はどこにいるのっ…!」
「フハッ…聞いてどうすんだよ…お前1人で何もできねえ癖に…言ったところで無駄だろ…それよりも自分の心配でもしろよ」
動画の中の幸男さんは泥だらけで、なんとか縄を解こうとして必死に動いている姿が見え…私は花宮をキッと睨んだ。
そんな私に少しも動じず、顎を強く掴まれたままゆっくり顔を近づけてくる花宮を再び睨みつけ、足で相手蹴り抵抗を示した。
動画の中の幸男さんは諦めていなかった。
幸男さんは縛られていたけど、私は拘束されていない。
私1人で…ここから逃げることなんてできないって思い込んでいるから…馬鹿にしてるって事…
だったらここから逃げて、人通りの多い場所に行けば幸男さんを探せる。
花宮は怖い…
でも怖くても…いつまでも逃げていられない。
大丈夫…
この倉庫を出て助けを呼べば逃げられる。
そんな気持ちとは裏腹に…私の抵抗を示した足は花宮に当たる事はなく…容易く片手で止められ嘲笑するようにほくそ笑んでいた。