第1章 泣き虫な子。
夜は帰ってこないことも多い。そんな日はナルトを待ちながらゆっくり本を読む。
自来也様の本は何度読んでも飽きはしない。
そんな時珍しいお客様が来た。
「まぁ!綱手様!あらあら、シズネ様まで!」
満月が輝く夜、酒瓶を振り回し玄関前に立っていた。
外はもう秋、冬にさしかかり肌寒いというのに。
「と、とにかくこんな所ではなんでしょうし、どうぞ中へ」
「ー!!!つまみはまだかー!」
「すみませんさん……綱手様がどうしてもと…」
「構いませんよ、今晩は肉じゃがだったのでつまみには、きんぴらごぼうで我慢してくださいね、今作りますからね、綱手様」
「お前の料理なら何でも良い」
ドタバタと入っていくのを見て今夜は賑やかになりそうと笑みをこらえた。
「お前、アイツはどうした?」
「へ?」
「今日昨日と任務は無いだろう」
あぁそうなんだと、色々理解する。
「お付き合いですよ、お付き合い」
綱手様が決めた結婚だ、不安に思わせる事は言いたくない。
「……そうかぁ…つまらんのぉ、せっかく冷やかしに来てやったのに」
「綱手様!!!」
「残念でしたね」
綱手はの背中と出された料理を見てふぅとため息をつく。
じゃらりと、足に巻き付く細い鎖。
「離縁しても構わぬぞ、私の傍にずっと置くことになるがな」