第10章 狼と狐と。
カカシに会わないこと1週間、は家でナルトに勉強を教えていた。
と言っても全く興味を持たず、うーうー唸っている。この問題が解けたらおやつを作りましょうと言えば一生懸命になった。
「さーさーここの掛け算難しいってばよー」
「うふふ、足の指を使っても足りませんものね」
「むむむー」
「ホットケーキなんてどうでしょう」
「食べるってばよ!!ようし!」
紅茶を入れて、ちらりとナルトを見ると一生懸命考えていた。は夕食を何にしようかまったり考えていると、油が切れそうでエプロンを脱ぎ外着を引っ掛ける。
「えっ、外行くなら俺も行くってばよ!」
心配症なナルトを見て、スグそこですからと言う。
むっとむくれるから、おみやげを買ってきますと言えば鉛筆をクルクル回しながらむーっとしていた。
愛らしくて飛びつき頬にキスをする。
「いい子~うちの子は本当に可愛いわぁ」
「ちょ、!」
「行ってくるわ」
そう言って微笑む。
ナルトは苦笑いをした。
毎回毎回買い物に出る度に生傷を作って帰ってくるから、極力オレが行くと行ってもお留守お留守と言われる。
「あ!トイレットペーパーもう無かったってばよ!」
「了解ですよー!」
そう言って元気に部屋を出ていく。
窓の外を見ると、はとぼとぼと歩き、石を投げつけられている。
それでも、謝りながら歩いているんだろう。は、何をしたっていうんだろう。
どうして、化け物と言っても言われても怒らないのだろう。
1週間暮らして、は過保護で優しくて、元気な人だと解った。
「むむむっ」
婚約者だから、そう言ったマスクをした男を思い出して眉間を寄せる。
なんで、を守ってやんねーのとか、なんで傍に居てやらねぇーのとか思ったりした、けれど。
『へ?あの人ですか?⋯え、えぇ、私の大好きな人です⋯だから、なんですよ』
そう言って嬉しそうにしていた。
化け物だと言う、大好きだと言ったは、とても綺麗な笑みを浮かべていた。