第7章 恋をした。
「くぅ‥ん」
ずるりと足を伸ばすを見て毛布をそっとかける。
うっすら目を開け見上げていた。
「サクモ⋯あのね⋯夢ができたの久しぶりに」
「ん?なんだい」
「旦那様に会うこと、そしてね、子供が欲しいの、私の子供」
「今のカカシじゃないんだね」
頷くようにまつげを伏せる。
「うん、今のあの人には私じゃなくてサクモ、貴方が必要なんだよ」
たぶん、彼女は全てを無駄にするつもりで言っているんじゃないんだろう。
彼女の我儘であり、彼女の夢。今で終わらないと解っているから思う事。
父さんにだけ言えること。
死と生の狭間で何度も出会って何度も一人で生きて、だから、これで終わると思わなくなっている。次があって当たり前なのだろう。
優しく頭をなでると、父さんは叶うよ、きっと⋯とつぶやいていた。気を良くしたのかすやすやと寝息に変わる。
「お前と出会って、は愛を知ったんだよ」
獣人の彼女は人を愛し、人を尊敬し誰より人の為にと願う。
かつての母親の様に優しく強く。
すべてを受け止め理解する。
生きとし生ける人を愛しているから。
翌日目が覚めるとは部屋に備え付けられていたお風呂に入り微睡んでいた。
おいで、と布団を持ち上げると恥ずかしげに入って来て甘い香りをさせながらすやすやといつの間にか寝ていた。
抱きしめると腕を回してくる彼女に愛おしさが募る。
「、愛してるよ。」