第4章 彩花。
「いつ下がるか解らぬ私のせいでお待たせする訳には参りませんから」
「千代、布団に戻るんだ。そんで、馬鹿戩華はちゃんと千代の傍に居るべきさ。仕事は大丈夫だ、あの狸がいる」
「栗花落姫様⋯そうは、参りませんでしょう⋯」
ぱたりと千代は旺季に倒れ込む。
「千代!しっかりしろ!千代!!」
「幸せすぎて、もう、なんの悔いもないわ、ふふ、ね、戩華⋯貴方を死なせずに済んだのよ⋯戩華⋯褒めてちょう、だい⋯」
夢の中では私の頭を撫でて良くやったと言葉をくれた。
私は天に召されるってこの事なんだと実感する。泣きじゃくって貴方の服を濡らすの。
愛している、千代。もう休め。
その言葉に頷いて貴方の膝を占領する。
「私は、もう⋯死なないの、もう、あなたの死を見なくて済むのよ、愛しているわ、戩華⋯今度から私を先に逝かせて⋯ね、もう、寂しいのは⋯嫌よ」
貴方は意地悪な笑みを浮かべて私を見つめる。だから、折れてあげるの。
困った人だ。
愛おしい人だ。
両手を伸ばしあなたに抱きつく。
「傍に置いて⋯⋯もう少しだけ⋯貴方の傍に⋯」
抱きしめられてふわりふわりと浮かぶように身体が軽くなる。
熱もどこかに行き貴方の鼓動が空っぽの私の身体に響く。
気持ち悪いぐらいに優しくて私はくすくす笑うの。
「ありがとう、戩華、こんな幸せを見せてくれて⋯応援してくれて⋯ありがとう⋯」
千代が、光っていた。
綺麗な光が千代を包んでいた。
だから、慌てた。
栗花落から千代を奪い怒鳴った。