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【彩雲国物語】彩華。

第11章 才華。



 「戩華!?貴様っ!!」
 瑠花が刃を向けるのを見ても、娘は一歩も動かず眉も動かさなかった。
 「どうやってこの屋敷に入った」
 「正面からだが?」
 「何の用だ」
 「ソレを取りに来ただけだ」
 顎で指すと、瑠花の怒りは増し短刀は戩華の護身刀を押す。
 何も言わぬ、動かぬ娘を見て瑠花を睨む。
 「アレに何をした」
 「もう、お前には渡さぬ。」
 「それはアレが決めることだろう」
 「そう決めたのだ、帰れ、戩華」
 「違う、アレは俺のものだ。」
 「馬鹿者、そんな戯言はもう繰り返させぬ」
 娘は目を見開いて微笑む。
 「瑠花姫様、繰り返すわけが無いとご存知でしょう?」
 くすくすと微笑み、その瞳は閉じる。
 「繰り返せないの、この世界では。だから、何も脅威に感じることはないのですよ」
 刀を緩め首を傾げる。
 「何を言う⋯?」
 「民の中の彼の妻はただ一人。変えられぬのですよ」
 長い時間でしたからね。
 そう告げて微笑む。
 「後宮に等戻るつもりもございません、その時はえぇ。瑠花姫にお願いを申し上げますが、今すぐではございませんよ」
 ふあぁっと、欠伸をして針を再びとる。
 「なら何故こんな結界を張って!」
 「この屋敷を護るため⋯瑠花姫を護るためにほかなりません」
 柔らかに微笑んでゆるやかに喋る。
 「変えれぬ事もあるのです。時は偉大ですからね」
 そう言って黙々と縫い物を進めていた。
 瑠花は座り込み、そうかと呟く。

 気に入らない。
 
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