第10章 彩稼。
一つずつ繋がっていく。
嗚咽するように涙を流し続けた。
「栗花落様⋯ごめんなさい⋯私は⋯母様にお会いしたいの、もう一度」
栗花落はその言葉を聞いて目を閉じる分かっていた。
千代の子だから、深く愛することを知っている子だから。
戩華のためにあそこまで出来る子の娘。容姿は戩華に似ていても、中身は千代にそっくり。
ぎゅうっと、抱きしめる。
「蒼姫⋯」
「お兄様を守って逝けば、母は少しは褒めてくれるでしょう?」
どこまでも似ていて。
悔しい。
「⋯⋯だから、武官として頑張るわ」
「お前は千代に似ている、どうしてそう私を困らせるな」
「大丈夫、栗花落様、父がいますよ、でも、私は母様にだけ、認められたいんですよ」
ほら、似すぎている。
にこりと、久しぶりに見せた笑顔。
涙が出る。
「そうか、なら、私では止められやしないな」
死に行く為だと言った。
娘を栗花落は止められないと言った。
戩華はわからなくなる。
狂った二人の会話を聞いて頭が痛くなり額を抑える。
『おうさま⋯⋯?頭、痛いのですか?』
「⋯⋯」
誰かの声が聞こえ顔を上げる。
誰もいるはずがない。
ああ、そうだ。
何故か、瑠花の娘の顔を思い出す。
あの嬉しそうな表情。
「千代⋯」
思い出すだけで胸がザワザワとする。
あの表情が見たくて、怖かった
「⋯少し⋯⋯はぁ」
少し、調べるかと部屋を後にする。