第2章 出会い
「………そんで、調査兵団になって、この世から巨人どもを駆逐してやる!」
黒髪の鋭い目付きの悪い男から、ハッキリと聞こえた言葉。
ハッ!
巨人を駆逐する?
なんて、お気楽な野郎だ。
「おいおい、正気か?お前今、調査兵団に入るって言ったのか?」
「あぁ、そうだが。たしかお前は、憲兵団に入って楽したいんだっけ?」
挑発的な俺の言葉に反応し、男が振り向く。
けっ!
そんなもん当たり前だろ?
ウォール・マリア奪還政策に、一体何万人が犠牲になったのか分かってんのか、コイツ。
犠牲の数に反して、マリア奪還は成功しなかったっつーのに……
「俺は正直者なんでねぇ。心底怯えながら勇敢気取ってる奴より、よっぽど爽やかだと思うがな。」
素直な自分の気持ちを男に投げ掛けると、男は眉間にシワを寄せ、俺を睨み付けた。
「なぁ、それは俺のことか?」
自ら巨人の餌になりにいくっつー馬鹿な男。
お前以外に誰がいんだよ。
「あー、すまない。正直なのは俺の悪い癖だ。気ぃ悪くさせるつもりはないんだ。これで手打ちにしよう」
椅子を引きテーブルを立つと、男も俺に合わせ前に来た。
互いの手を合わせ、叩く。
世の中には馬鹿なヤツもいるもんだな。
男が去ると同時に、俺の前を、ミサキに良く似た雰囲気の女が横切った。
先程まで思考を埋め尽くしていたものに思い掛けず、声を掛けてしまう。
「な……なぁ、あんた」