第2章 出会い
ーピチチッ
小鳥が鳴く声
自分が見惚れていた事に気付き、我に返って状況を確認する。
「………は?…アンタ……ここで何してんだ?……兵団服を着てねぇってことは一般市民か?ここは関係者以外立入禁止区域だぞ。」
自分でそう言った通り、ここは関係者以外の立入りは禁止された区域。
何でこんなとこにいんだ?
帰る家を間違えたっつー事はないよな?
グルグルと頭の中の思考が回る中、女を見る。
女は俺から視線を外し、キョロキョロと辺りを少し見回したあと、遠慮気味に呟いた。
『あの……ここは、どこですか?…私………。』
女の言葉に目を見開く。
はぁ?!
どっから湧いて出たんだ、この女。
「おいおい、まさか場所が分からねぇって事かよ?」
俺の問いに女は頷く。
マジかよ……
記憶喪失か?
こんなところで何してたんだ?
………いや、俺が考えても仕方ねぇ。
「あー、クソッ!こんな状況まだ教えて貰ってねぇぞ!取り敢えず教官のとこに連れてくしかねぇか。」
ワケが分からない状況に、俺は頭を掻いた。
これを見逃して大事になったら敵わねぇ。
憲兵団になるどころか、下手したら法に触れる可能性だってある。
それに………
今にも消えてしまいそうな儚げな目をしている女を、このままこの場所に放って置ける程、人間は腐っちゃいねぇつもりだ。
乱暴に頭を掻いていた腕を下ろし、女に向けて、その手を差し出す。
女は、瞳は揺らし、肩を震わせた。
「……何も取って食ったりしねぇよ。」