第34章 10年越しの告白
15歳の春…希望校に受かったことは嬉しい。が、しかし、入学式というのは非常に退屈…同じようなお祝いの話が何人もの人から語られる。
高校生活で生涯付き合える友人を作りましょう。
3年間はあっという間に過ぎてしまいます、しっかり学習しましょう。等々、中学の入学式でも似たような話し聞いたよ…って思っちゃうんだよなぁ。
「続きまして在校生代表歓迎の言葉」
「新入生の皆さん。本日はご入学おめでとうございます」
瞼が重くなってきた俺の耳にいきなり飛び込んできた凛とした声。
少しハスキーなその声に俺の意識も急浮上。
壇上に目を向ければ綺麗な笑顔で新入生の座席を見渡しながら話をする上級生。
さっきまでの眠気はどこへやら…手に何も持たず堂々と話すその様に目が釘付けになった。
あの人はいったい誰なんだ?
「待つのではなく積極的に行動することで高校生活はいくらでも楽しむことが出来ます。
勉強に運動に恋に…今しか出来ないことを共に頑張りましょう」
野郎共の『お~』という低い声で場内が少しどよめいた…男子校だからスクールラブは期待してなかったけどあんな綺麗な人に『恋に頑張ろう』なんて言われたらそりゃざわつくよな。
「…生徒会長 櫻井翔」
生徒会長の櫻井さんか…こんな素敵な人が校内にいるなんて、毎日学校に登校するだけでも楽しいじゃないか。
櫻井さんのことを見ていたらお辞儀をして顔をあげた瞬間の彼と目があった。
ニコッと微笑んだあと壇上から下りていく彼の後ろ姿をドキドキしながら見つめ続けた。