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恋歌 《気象系BL》

第21章 What is your dream ? #4


夏休みに入ると智くんと会うことはなかった。
部活として一緒にダンスをしていた訳じゃない。ただ踊りたいから踊っていただけ。

智くんと会えない日々は退屈で、心にポカンと穴があいたようだった。

そんなある日智くんから連絡が来た。

『知り合いがダンスバトルやるから一緒に観に行かない?』

ダンスバトル?なんだそれ?とは思ったけど、智くんと会えるなら理由なんてなんでも良かった。俺は詳しく聞かずに

『行く!』

って返事をした。それから約束までの3日間、俺は毎日カレンダーと睨めっこしながら過ごした。

そして待ちに待った3日目、智くんに会える事が楽しみで、待ち合わせした駅に約束の時間より30分も早く着いてしまった。
そのせいで何人かの女性に声を掛けられて面倒くさかったけど、それでも智くんと会えると思うとワクワクして仕方なかった。

待ち合わせ5分前、また見知らぬ女性が近付いてきた。お茶に行かないかと誘われたが勿論笑顔で断った…なのに中々退いてくれない彼女。
どうしたものかと困っていたら突然後ろから腕を掴まれ引っ張られた。

「えっ?」

振り返ると智くんだった。

「何してるの?行くよ?」

「あ、うん…」

声を掛けてきた彼女のことをガン無視して歩き出す智くん…ちょっと不機嫌そう?でも助かった。

「ありがと…」

「なにが?」

ぶっきらぼうにそう答える智くん…やっぱり機嫌悪い?

「彼女、しつこかったから助かった」

「ほんとに?俺邪魔だったんじゃないの?」

「そんなことあるわけないじゃん!だってずっと楽しみにしてたんだよ?」

そう言うとやっと智くんは立ち止まり俺の方を見てくれた。

「楽しみにしてくれてたの?」

「うん…」

首を縦に振り頷くと智くんはふにゃんと笑顔を見せ

「そっか、そっか…」

と満足そうに呟いた。
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