第10章 新旧双黒+織田作/楽しい文化祭
そして、文化祭当日。
俺は客寄せの為にプラカードを片手にぶらぶら歩いていた。
いや、歩きながら太宰を探している、といった方が正確か。
案の定、消えやがったあんの青鯖…
『なぁなぁ、3年3組の喫茶店行ったか? めっちゃ可愛い子いたんだけど!!』
『マジかよ、連れてってくれ!!』
そんな他校生の男どもやら
『やべぇよ月尾先輩見た…? 今日はいつもに増してアイドルだった…』
『馬鹿言え。あれは天使だ。…いや、女神か…!?』
そんな下級生どもやらの会話を聞く度に思う。
…呼び込み、いるか??
そんなもんなくても月尾がいれば十分過ぎる気がしてきた。
「おーい、中原~」
「あ? 田中かよ。なんだ手前ぇまでサボりか??」
「違ぇよ、俺はちゃんとした休憩時間だっての!! つーか中原お前なんて顔してんだよ、そんな怖い顔してたら客なんて寄って来ないぞー(笑)」
「…俺、そんな怖ぇ顔してんのか?」
「鏡見てみろよ、ガン飛ばしてるよーな顔してんぞ(笑)」
マジか。
そんなつもり無かったけどな…。
「どーせ月尾さんが人気過ぎて…」
「う…っうるせぇ!!///」
「あれ? 中也さん??」
「お前…」
今度は1年の敦が声掛けて来た。
「こんにちは中也さん! 呼び込みですか??」
「まぁな。お前は何やってんだ?」
「僕たち生徒会は見回りが仕事ですから」
「そういやそうだったな。なぁ、あの包帯無駄遣い装置見なかったか?」
「えっと…太宰さんは残念ながら…(笑)」
あいつマジどこに消えたんだよ。
まさか帰ったんじゃねぇだろうな…。
「あ、そうだ! 中也さん、この人見掛けたら生徒会までご連絡頂けますか?」
「あ? なんだこいつ??」
「実は、この辺の文化祭に現れては迷惑行為を繰り返しているそうなんです。乱歩さんの推理によると、きっとうちにもやってくるって…」
「ああああああああああ!!!!!!」
写真を見て、田中がいつもより1.5倍うるせぇ声を上げた。
「なんだよ田中…」
「これ…っ、こいつ!! さっきうちの喫茶店に入って行ったぜ!!」
「なっ!!??」
俺は片手に持ってたプラカードを田中に押し付けて
全力で教室まで走った