第1章 バレンタインが近づく夜には…
Nside
俺の好きな人は、地球みたいな人だ。
いろんな生命を育み、生かし、そして羽ばたかせる。
そんなすごい才能を持っている人だ。
それに、いろんな表情を持っていて、それをみんなと共有している。
だから、俺の好きな人の周りにはいろんな人が集まる。
俺の好きな人の好きな人は、太陽みたいな人だ。
いつも周りを…俺の好きな人を照らしてくれる。
たくさんのエネルギーを持った人だ。
でも、俺にはその光は眩しくて、たまに目を細めてしまう。
俺は、多分月だ。
俺一人じゃ輝くこともできない。
息をすることも、出来ない。
ただ、地球のそばをぐるぐるしているだけの、つき。
でも俺にも誇れることはあって、俺が、地球の心臓を動かしているんだ。
でもそれも、太陽がいなくちゃ出来なくて、結局俺一人じゃ何とも出来ない。
俺が地球の影に隠れているときには、地球は太陽に近づく。
俺の知らないところであってるんだろうな、なんて考えて、嫌になる。
今日はもう、ベッドに身体を預けて、寝ようかな…
そう思い、重たい瞳を閉じた。