第11章 二度あることは三度ある。いや四度あるかもしれんから気ィ付けろ
「あ、アンタ…!?」
血が傷口から滴り出て、私の腕に伝ってきた。
「離さないと傷口が開……!」
「離さねェ。こんな状況でも医者だなお前は」
より一層私の腕を強く握り締めた。
唇を強く噛んでいるから、痛いのを必死に堪えて私を支えているんだ。
医者である私が、助けるどころか相手の傷つけるようなマネを……言語道断だ
そうこうしているうちに、残り数人の敵の足音が聞こえてきた。一斉にやってくる。
「私は落ちても大丈夫だ。後ろから…!」
「うるせェッ…知ってらァ!すぐ引き上げる」
晋助は決して手を離さなかった。
また、失うのか
また、後悔するのか
アイツらから、また奪われるのか
吉田松陽とかつての自分の師の遠ざかる背中が、晋助と重なった。
何で、こんなときも頑固なんだ……
高杉の腕から流れ出る血で、私の青い陣羽織の袖は赤く染まっていった。
「頼む晋助…離してくれ……」
こんなときくらい、頑固でいないでくれよ……
敵の刃が高杉の背中に向けられた。
「ッ!高杉ィィッ!!!」
高杉は私を引き上げるどころか、すべての力を振り絞って私を上へ投げた。
私は空中から、高杉の後ろの敵を攻め落とした。
これで敵を何とか全て倒した。