第1章 Linaria~この恋に、気づいて~
そんな目で、見ないでよ…。
物凄く、惨めになるわ。
仕方が無かったのよ。
私と私の心は同じだった。
私の心が、あの人を追いかけている様に、
私の心も、あの人を追いかけている。
ねぇ、人を好きになるのに理由がいるの?
…忘れたくない。
だけど…。
忘れさせて…。
【Linaria…9】
「あ、ありがとう…ございます…」
本当に、この人は…。
山崎さんに飲み物を頼んだ筈。
だけど持って来てくれたのはあの辛口ハニープリンス様。
「早く飲みなせぇ」
彼は上から目線であぁ?俺がわざわざ持ってきてやったのに、飲めねえのかと言う視線を寄こし、いいから飲めと私を急かす。
「あ、は、はい…」
私はそう言い、小瓶の蓋を回した。
カチッ。
別に、飲めなくは無いのだけれど、何となく勇気が必要な物。
、参ります!
「テメェは怪我人に何て物を飲ませるんだ」
そう聞こえたと思ったら私の手の中にあった飲み物は誰かの手によって消え去って行った。
「あ…」
宙を舞う小瓶を視線で辿ると久方ぶりの彼がいた。
「何するんでィ。絶賛調教中でさァ」
突如現れた彼に向かって口を尖らせながらそう言う沖田さん。
ブッ…かわいい…!
沖田さん、本当に可愛い過ぎ。
あの性格が無かったら絶対に惚れていたよ。
「何言ってやがる。テメーのそれは調教と言う名のただの幼稚な悪戯だ」
私から取り上げた小瓶のラベルを見た彼、土方さんは、げっ…寄りによってへパ〇ーゼかよと呟いた。
「もコイツのやる事なす事間に受けんじゃねえよ」
そう言って私の頭を軽く小突く。
「は、ハイ…ごめんなさい…」
この人もこの人だ。
硬派だか何だが知らないけど、土方さんの取る行動が一々素敵で私の心臓が持たない。
しかも天然でやっているから本当にタチが悪い。
「ザキの次はニコチンマヨですかィ」
土方さん、とんだ阿婆擦れを拾ってきやしたね。
あ、阿婆擦れって、私の事…だよね?
沖田さんは私の事をそう名付けると土方さんからへパ〇ーゼをひったくり、昨日は鬼嫁飲み過ぎたんでィ、貰いやすと言いながらグビグビと一気に飲み干した。
てか、この世界にもへパ〇ーゼあったんだね…。