第1章 闇色夢綺譚~花綴り~
【※縋、今だけは】
死にたかった。
そして、出来る事なら元の世界に帰りたかった。
だけど、自分で自分を切り裂くだなんて私にはそんな勇気も度胸もなく、帰れる保証だなんて何処にもなくて…。
だからって訳では無いけれど、駆けつけてくれたのが左之さんと解った瞬間、あぁ、この人なら私を綺麗に殺してくれるって思ったんだ。
「…っ、アっ…」
それに、左之さんは今日の事を知っているって直感した。
案の定、私が知っていたのかと問うと見事に謝って来た。
だから私はそれを利用しようとしたんだ。
けれど、何を間違えたのか左之さんは私を抱きしめてこう言ったんだ。
" 俺が救ってみせる…!"
バカだよ、バカ。
あの土方さんに背く行為、貴方に出来ると思っているの?
死ぬ事を覚悟したのに、
殺されてもいいと思ったのに、
そんな事言われたら、
少しでも生きていたいって思ってしまう…!
そう思ったら私は無意識に左之さんに縋っていったんだ。
私の身体は既に風間千景の手によって開花され、
じわり、じわりと侵食されて行く私の身体は自分の意思じゃどうにもならないくらいに快感を望んだ。
「さの、さんっ…もっとっ…!」
あぁ、なんて醜いのだろう。
左之さんの足の上に跨り、しなやかに伸びた指先は私の中で乱れている。
「っ…っぁ、ぁっ…」
辺りは河原だと言うのに川の流れる音も何もかもが私の喘ぎ声と卑猥な水音でかき消されていた。
気持ち良い…。
ただ、これだけ。
もっと…。
欲しいのは、快楽だけ。
此処で私は殺され、そして夢小説のセオリー通り元の世界に帰る筈…
だけど、
今はそんな事よりも、
もっと、欲しいの…。