第2章 2人の距離2
「俺も借りようかなー?」
軽く言われたから一瞬流そうとしたがなんか変なこと言ったなこの人
「え…シャワーですか?」
「んー。ダメ?どうせ家近いし家で入ってもここで入っても一緒だろって」
一緒ではないと思うけど。
「いや。ダメって訳ではな、「じゃあ貸してー。タオル用意よろしくお願いします」」そう言って私がさっきまでいた浴室に入って行った。
いや。なんで間取りわかんのよ。と心の中でツッコミをいれ言われた通りタオルをそっと用意して置く。
そしてリビングに戻りソファを背もたれにしてストックしていた缶チューハイを開け一口飲み、テレビをつけて髪を乾かしていた。
暫くするとニノさんが上がったのかソファにドサッと座りタオルで髪を拭いていた。
あまりにもガシガシと雑に拭くニノさんを見かねてソファに登り膝立ちしてニノさんの髪を乾かす。
ニノさんはおぉ。御苦労。とニヤっと笑ってテレビを見ていた。
そして髪を乾かし終わりドライヤーを片付けてリビングに戻るとニノさんが私のチューハイを飲んでいた。
「え…ニノさん車どうするんですか?」
私が慌てて言うと誘惑に負けたとヘラっとして言った。
「いやー。なんかほんと家みたいだな。もう泊まっちゃうかな」
そんなことを平気にいうニノさんに驚いた顔をするとフッと笑われた。
「え。ダメですよ。ニノさんの布団ないし。」
私が断るとソファにゴロっとして目を閉じた。
「いーよ。ここで。」
そう言ってもう寝ちゃったのかと思うくらい静かな呼吸になるニノさん。
そのままそうっと毛布をかけてあげると起きていたのかおやすみ〜と手をひらひらさせた。
布団に入ってはぁぁ。と息を吐く。
疲れた身体に布団は最高だなと思いながら少し微睡む。
しかし途中でふと思ってしまった。
ニノさん。身体痛めるよな。
ヘアメイクとしてはさ、演者さんには万全な状態で挑んでもらいたい。
もし体調が悪くても出来るだけ楽になる様に出来る範囲のケアはしてきているつもり。
そして目が覚めてしまった。
こんなんじゃダメだ。
ニノさんの体調が悪くなる様なこと。ヘアメイクの私がしてはいけない。
静かにリビングに戻るとニノさんはほんとに寝てしまっているのか静かだった
「あの…ニノさん。」
小さく言うとん〜?何〜?と眠そうな返事が返ってきた