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2人の距離

第1章 2人の距離



「今日、…待ってるの?彼」
住所をナビでセットして軽やかに運転し始めてしばらく経った時にニノさんに聞かれた

思わずドキッとしヒロトとの電話口でのことを思い出しさっきまでの楽しかった気持ちが落ちていった。

「…ごめん。でも、大丈夫かなとおもって」
ハテナを浮かべてミラー越しにニノさんを見るとバツが悪そうな顔をしていた

「思わず送るとか言ったけどさ。ほら、…凄いんでしょ?嗅覚」
ニノさんの言いたかった事を理解し、そして嗅覚という言葉がなんだか面白くてクスッと笑ってしまった。

「大丈夫です。…今日は違う人のところにいるから。」
こんな事を言ってしまったのは多分お酒の所為

それかニノさんのなんともいえないまったり感の所為


「…え?」
一瞬フリーズし頭をぽりぽり掻いて私と視線を逸らした。



「どっか。ドライブ。しますか?」
今度はふっと笑ってミラー越しに視線を合わせて来た。

私は迷う事なく頷いた。


今日はまだ家に帰りたくなかった。
ヒロトがいない家でヒロトを思う事が耐えられそうにない。





「すみません。お酒飲んでしまって。…運転代われないですね。」
しまったと思いそう声に出した時には横浜の街を走っていた。


「ん?…いや、良いって。というかあなた運転できんの?」
ペーパードライバーだったりしてとニヤつくニノさんにフフッと笑う

「楓さんお墨付きですよ。…あんまり運転させてくれないけど」
ほらね。やっぱり。と笑うニノさんに反論した。

「違いますよー。…褒めてくれるのに嫌がるんです。似合わないからって」
私がそう言うとニノさんはフハハッと吹き出した

「すげーわかるそれ。楓ちゃんの気持ち」
ニノさんの言葉に不思議に思った

「そもそも。運転に似合わないとかありますかね?」
そう言うとニノさんは笑って

「んー。由梨ってさ。俺の勝手なイメージだけど結構ふんわり系なのよ」
ふんわり系?とは?よくわからないと言う顔をしていたら

「確かに仕事は楓ちゃん伝授なだけあってテキパキこなすけど普段の由梨見ちゃってる俺としてはね?」
そう言われて思い返して見る。

「私、ニノさんに失態見せてましたっけ?」
考え込む私をチラ見してまた笑ってるニノさん


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