第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【夢は、夢のまま】
「許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない許さない…殺してやる、殺してやる、殺してやる殺す殺す殺す殺す殺す殺してやるゾォォォッっっ!!!」
三成が頭に血が登り、恐惶状態で戻ってきよった。
ああなってはワレにでも難しい。
概ね、察しはついている。
「ヤレ、三成…熱くなり過ぎるな。ヌシの悪い癖よ、ワルイクセ」
ワレは三成を宥めようとしたが失敗に終わる。
「貴様!そんな悠長な事言っている場合ではない!」
名前が連れ去られた!!
やはり、と言うべきか。
「三成、取り敢えず、此処を何とかする事が先決よ」
ワレは状況を判断し、三成に伝えるも、ワレの話一つ聞いてはおらぬ。
「おのれぇっ!!許さんぞ!」
名前を何処へやったぁっっ!!!
私は刑部の言葉を無視し、残党共を切り刻んで行った。
地に這って命乞いをしている残党にとどめを刺そうとしたその刹那、耳鳴りに近い金属音が鳴り響いた。
「!!!」
何事と音のする方角を辿ると空だ。
その音が空から物凄い速さで落ちたと思った刹那、残党共を爆音と共に散らした。
「貴様、本多忠勝!」
何故、貴様が此処にいる!!
「家康!!」
私はそれの姿を探すと本多忠勝より遅れて上から降りてきた。
「三成!彼女は無事だ!」
先に城へ連れて行った。
そう家康が私に向かって叫ぶと、安心したのか膝が勝手に折れた。
「あぁ、名前、名前名前…」
三成はずっと彼女と思われる名を繰り返し、繰り返し呼び続けた。
済まない、三成…。
無事な事は確かだが、彼女…名前殿は…。
ワシはその事が言えずにいた。
夢は、夢のまま
だから、美しい
儚く、華麗に
そして、散りゆく破片
これが、運命(サダメ)と
云うならば
孤独な者達は、何を想う…