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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第7章 無意味なひと


きらびやかなシャンデリアと壁の装飾。どれも最高級に磨きあげられた輝きを放っていて、まばゆいばかりである。
ホールにはさまざまな色のドレスを着た人々が談笑に花を咲かせている。
たくさんのテーブルには料理が並び、可愛らしくデコレーションされたスイーツも置いてある。
誰もが華やかなドレスや髪飾りなどの装飾品をまとっているのに比べて私の格好はむしろ浮いてしまうものだった。

「リュシアンナ伯爵…すごい色ねえ…」

「まるでカラスだわ」

コソコソと陰口を言われながらも私はホールを歩く。
たしかに私が今着ているドレスは黒だ。体に巻き付けたようなデザインの黒のドレスにはキラキラと光るものが一切付いておらず、黒一色のみだ。
イギリスでは珍しい黒髪もただでさえ浮くのに黒のドレスはさらに浮いてしまう。

「これで婚約者を探す気があるのかっていう話よね」

「左様ですね」

私たちは目を合わせて笑いあった。
私の中にもセバスチャンの中にも婚約者を見つけて帰るというプランは全くなかった。
とりあえず誘われただけだから来た、その安易なプランのみだ。
私は壁際のソファに座り、セバスチャンが取ってきたレモネードを飲む。
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