第17章 我儘に甘えて(秀吉)
そっか…確かに…私の知らないとこで秀吉さんが辛い想いをしてて、
それを必死に隠そうとされてたら…嫌…かも。
そして、もしそれを、他の女の人は知ってるとしたら…
自分に置き換えて初めて、言われない方が辛いと言う事に気がついた。
「こんなに簡単な事…気づかなかったなんて…。
秀吉さんが好きすぎて、見えてなかったんだね、私」
そう言うと、今度は自らその胸の中に顔を埋め
背中に回した腕ギュッと力を籠める。
「秀吉さん、我儘いってもいい?」
『あぁ…何でも言え』
そう言って秀吉は目を細める。
(お前の願いは何だって叶えてやる)
「秀吉さんに逢えなくて…体調も崩して…
凄く心細かったの…。だから…」
『うん?』
「秀吉さんがいっぱい欲しいよ…」
『…!!』
(ま、まて…落ち着け。
今日は駄目だぞ。愛の体調が良くないんだ)
『わかった。朝までこうしてるから』
そう言うと、優しく背中を撫でる。
「秀吉さん…」
そう言いながら愛が秀吉を見上げた。
『愛…その顔は…まずい。
お前…煽るな。愛の体調が良くなるまでは…』
さっきまでとは違う、扇情的な顔見つめられて、
秀吉は身体中熱くなるのを抑えられないでいる。
「何でも我儘言っていいって言ったのに…」
今にも泣き出しそうな声で言う愛に、
心臓を鷲掴みになれるような痛みを覚えた。
『…辛かったら…辛いって言う約束だからな…』
そう言うと秀吉は愛に口付けを落とす。
それは、だんだんと熱を増していく。
夜闇が濃くなるにつれ、その熱はひたすら奥深くへと広がっていった…
我儘に甘えて 終