第84章 ジャックダニエル
「…美味しかった?」
「うん、光忠、甘ぃ‥」
鼻の先にチュッと口付けして頭を撫でる。
蕩ける様な笑顔でこてん、と首を傾げるちゃんが可愛過ぎだ。‥と、そこまで黙って見ていた長谷部君が、拗ねた様にちゃんを引き寄せ胸に抱く。
「主、俺のが良いですよね?」
「うん?長谷部も美味しいよ?」
そうじゃなくて!と、ちゃんを後ろから抱き締めて首筋に口付ける。
「んっ‥はせべ?」
「あるじは、俺のですよね?」
つつ、と首筋から耳へ舌を這わせ低い声で耳の中へ囁く。
彼女の真名を。
「‥。」
はせべ、と小さく呟いた言葉ごと飲み込む長谷部君。その背中に腕を回し、もっと、と先をねだるちゃんから、また目が離せなくなる。