第80章 特別
俺は特別なんだ、と思わせてくれるこの今があるから救われる。
この手もその声も、この先も俺だけの物にはならないのかもしれない。…だが、それでも良い。
俺が特別だ、と言ってくれている間はそう思えるから。
「ねぇ‥主、今夜は何をしましょうか?眠るまで手を握る?寝かさず、俺に蕩ける?…御随意にどうぞ。」
「ふふ、長谷部の思うままに。」
その手で俺を求めて下さい。
離さないと、離れないと言って下さい。俺が俺を保てる様に、どうかこの先も主だけを想わせて下さい。
「…」
貴女が俺の特別だ。
夜は短い、ほんの一時だけでも俺以外の事を考えられ無くしてあげますよ。
苦しい程に。ね、あるじ…
俺に溺れろ。