第80章 特別
「主、ちゃんと俺を一番に想っていて下さいね?じゃないと、大変ですよ!」
俺が、と付け加えると、笑いながら大丈夫だよと頭を撫でる。
「長谷部が一番だよ。特別だもん、ずっとそれは変わらない。」
「信じてますからね?」
あの時、鶴丸が言った様に、主は承認欲求の塊だ。
子供の頃に家族と上手くいかなかったり、充分な愛情を受けられないと、大人になってからその欲求が強く出る事があると本で読んだ。
だから、本丸の者に家族の様に慕われるのも、それ以上の感情で想われるのも嬉しいに違いない。
…だからこそ、嫌われるのを酷く恐れて全てを受け入れてしまうんだろう。
「‥危うきこと累卵の如し、だな。」
「るい、らん?‥長谷部?」
主が可愛らしいからいけないんです!と笑い、誤魔化した。