第77章 幼心
国永を猫部屋へ放り込み、部屋を出るとガタンと何かを落としたような音が聞こえた。
…あいつ、何か落としたのか?
「大倶利伽羅、悪いが手が離せない。様子を見てきてくれないか?」
洗剤の泡の着いた両手を上げた長谷部に、片手で合図をしてあいつの部屋へ向かう。
「……おい、今の音はなんだ?何か落として‥」
…………???
「…お兄ちゃん誰?」
扉を開くと、そこには短刀達と同じか、それより少し小さい子供が、ひっくり返った椅子の横に座っていた。
黒い髪に薄茶色の瞳。
「……あんた‥まさか‥」
「あんた、って言ったらいけないんだよ!お母さんが言ってたもん。って言わないといけないんだよ!」
さっきまであいつが着ていた洋服をずり上げながら、こいつは自分をと呼んだ。