第73章 帷
「物心ついた頃から、家には母親と妹しか居なかった。…たまに帰ってくる父親が……他の女と暮らしているって知ったのが12歳の時だったかな。」
一言一言を嗚咽を噛み殺しながら話すちゃんの背中を擦る。
「‥母親は精神がおかしくなって、いつも泣いていて、妹はそんな母親を見て気持ち悪がったてた。私は中学に上がって、新しい友達も出来てそれなりにやっていたんだよ?‥なのに、ある日友達が好きだった人に告白されて…それから虐めが始まった。そこから三年はひたすら耐えたよ。‥自分は居ない物として扱われるのが耐えられなくて、殆ど家で勉強して、テストだけ受けて、なんとか貰った推薦入学で高校へ進んだんだ。」
ぎゅっと握った指先が冷たく感じる。