第17章 名を呼べば

「急に引っ張ったらびっくりするでしょ！」

「ごめん、つい…。けど、どうしよう。僕、今凄く幸せなんだよ。ちゃん、もうちょっとだけこのまま抱き締めててもいいかな？」

ね、お願いだよ‥と背中に手を回すと、少し間を置いてからちゃんが僕を見る。

「……ちょっと、だけだからね？」

嬉しくて腕に少し力を込めれば、また赤くなったちゃんが笑う。

「ふふ、ありがとう。‥あぁ、そういえば、どうして僕達や長谷部君の願い事は叶っちゃったのに、真名を呼んでも何も効果が無かったんだろうね？」

「え？」