第94章 今を生きる
これはもう俺から先に謝った方がいいよね?怒られるのは完璧に解ってるから‥頭の中でぐるぐるそんな事を考えていると、机を挟んだ向かい側に一兄が座った。
「包丁?いつまで立っているつもりなのかな?ほら、そこに座りなさい。」
「あ…ぅ、あのっ!一兄ごめんなんだぞ!俺が主を連れてったから怒ってるの解ってるんだ。」
ごめんなさい!机に頭が当たるくらいに頭を下げて謝る。
「ほ、包丁?いいから、ほら頭を上げて。」
「…へ?だって、一兄怒ってたんだろ?」
へ?と、気の抜けた声を出して首を傾げた一兄に、思わず俺も同じように首を傾げた。
「‥ははっ、もう怒っていませんよ。だからほら、そこに座りなさい?」